一年経過して Dai の現状
一年前以上前に "テザー(USDT)の代わりになるか?安定通貨 Dai"という事で記事を書きまして、今回はその振り返りと現状を確認したいと思います。
Dai はテザー(USDT)の代わりになったか?
当時は発行されたばかりで信頼性も無く、利用するのに躊躇がいる状況でしたが、一年間の長い仮想通貨相場の下落を経験してやっと信頼できるステーブルコインとして認知されたのかなと実感しました。
比較表を改めて作成してみました。
権力 | 発行主体 | 取扱取引所の数 | 時価総額 | ERC20準拠か? | 安定性 | 実績 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Dai | 分散 | DAO(MakerDao) | それなり | 高い | 〇 | 〇 | △ |
USDT | 集中 | テザー社 | 多い | 高い | 〇 | 〇 | 〇 |
取り扱い取引所の数は大分増えたと思います。分散型取引所や中央集権的な取引所まんべんなく取り扱いがあります。プロ向け取引所である Coinbase pro にも上場されています。
coinmarketcap.com によれば、ほとんど中央集権的取引所で扱っているように見えるのは面白いですね。
時価総額は54位と先日 Gemini Dollar を超えて、2000を超える仮想通貨ランキングの中でもトップクラスの成長を遂げました。出来高も結構あって、今日の時点で30位以内に入っていました。これだけの存在感があれば、十分 Dai はテザーの代わりになったと言っても過言では無いでしょう。
Dai は投機需要だけでなく通貨として機能し始めた
もともと私は Dai はテザーの代わりの、投機需要を満たす存在として考えていました。もちろん将来的には決済に使えたらいいなと想像はしていましたが、一年経過してみて想像以上に進展していると感じています。
例えば Gitcoin なんかは良い例でしょう。
seidoutakizawa3.hatenablog.com
報酬として Dai を選択することができます。変動リスクが一般的な仮想通貨と比べて大変低いので払う側も受け取る側も安心です。
買い物に使える事例も
seidoutakizawa3.hatenablog.com
決済に使おうとする事例もあります。
seidoutakizawa3.hatenablog.com
まだ一般層への普及には時間がかかりそうですが、Ethereum 界隈では大分お金として通用するようになりました。
また、金融系サービスの人気コンテンツにもなっています。
Compound、Uniswapでは人気のある通貨として Dai が取引されていて、投機だけではなく投資にも使われるようになりました。
Dai の今後
影響力が出てきたためか、最近 Dai は特に Ethereum 以外を支持する人たちの中では批判の対象に成りつつあるようです。おかしな事に、ビットコイン愛好者は銀行を非難している方が多いのですが、なぜか非中央集権を目指す Dai や DAO の在り方に批判的なようです。DAO はうまくいかないとか、銀行の方が信用できる(うーん笑。何言ってんの???)
確かに本当に安定しているか不安になるのは理解できます。ただ、USDT 等フィアット担保型と違うやり方で使いやすいお金を目指す点が画期的であり、仮想通貨愛好者の方にはもっと暖かい目で見てもらいたい気がします。
今後、さらなる批判が増えるものと想像しています。Dai が普及すると困る人が増えるからですね。また、実は設計に問題があったとかスマートコントラクトは信用できない!(うーん笑い。それ言ったらテクノロジー全般信用できんしw)とかいう批判も出てくる気がします。そもそも、仮想通貨というのは無保証なんですね。だれも責任取ってくれないのが原則です。この点には気を付けて、よく情報を自分で調べて納得した上で使って欲しいですね。私も Dai に全幅の信頼を持っているわけではないので、全部 Dai に変えるとか考えていません。数ある通貨の内の一つとしてうまく付き合ってほしいと考えています。
批判は増えるものの、トラブルがなければどんどん使われていくものと思われます。価値変動が低いという設計は大変通貨として使いやすいです。銀行に依存しない通貨としてあらゆる場所で使われる機会は増えていくでしょう。Dai を決済で使うと、トランザクション履歴が全部分かってしまうので少々困ることになりますが、Ethereum 上やサイドチェーン上でトランザクションを匿名化する方法もあります。こちらも今後は重要視されていくのではないでしょうか?