ツイッターのブロックチェーン論争について
金曜日位から今日までに、ツイッターでbitFlyerの加納さんと、セキュリティ研究者高木浩光氏中心のブロックチェーン論争のまとめみたいなものを今回は書きたいと思います。
僕の立場を明確にしておきます。ブロックチェーン肯定派です。ブロックチェーンは、更にパブリックチェーンとプライベートチェーンに分類できますが、僕は両方の肯定派です。ただし、このブロックチェーンはいずれもイーサリアムです。
QuorumはもともとJ.P. MorganがEthereum(Geth)をベースにエンタープライズ向けに改良を加えた実装です。現在はConsenSys社の管理するものになっています。これがイーサリアムのプライベート向けブロックチェーンです。
ビットコインやmiyabiなど他のブロックチェーンに関しては尊重するものの、評価していません。正直に言うと、僕は加納さんのゴリ押し営業は問題になるだろうと考えていました。とくにマイナンバーカードのシステムは存在するのでリプレイスや機能追加となると既存システムの関係者から反発を食らう可能性があるからです。
ダサいので要らないです。 https://t.co/T1lzDfnRGp
— シラタキ (@seidoutakizawa3) 2020年10月1日
僕は普段はこういうクソリプをして楽しんでいるタイプです。このTシャツを見たときこの人大丈夫かなぁと心配しました。悪い人ではないし面白い方なのですが、敵を作るかもしれないと思いました。なので、僕の事は教祖様を称えるブロックチェーン(加納)信者というより、イーサリアム信者と呼んでいただきたいです。ブロックチェーンがというより、イーサリアムがどうなるかの方が僕にとっては最重要関心事項です。投資案件としても重要ですし、インターネット関連技術としても重要です。
対立構造
何を価値基準として、ブロックチェーン肯定対ブロックチェーン否定のグループで対立しているか考えてみました。
僕は上の3,4の理由で肯定派にあえて参加する事にしました。4を気にしている人間は恐らく自分だけです。もし、高木氏ではなくて、別の人間が中心人物なら多分この論争には参加しなかったでしょう。
また、中心人物であるそれぞれの正義は
- 加納さん→プライベートチェーン(Miyabi)の実績作り
- 高木氏→産業技術総合研究所(経済産業省所管の公的研究機関)の使命「科学技術を、自然や社会と調和した健全な方向に発展させること」「情報発信や人材育成等を通して科学技術の普及と振興に努め」
と、私は考えます。
応用技術vs基礎技術ですが、否定派はブロックチェーンは既存の技術(基礎技術)と同じ車輪の再発明であるという主張しています。根拠としては暗号理論などは既存のものでブロックチェーンは不要だそうです。しかし、肯定派としては、ブロックチェーンは基礎技術から発展した応用技術だと考えているので車輪ではなく車です。互いに、高レイヤー低レイヤーの差がありました。話が合わないわけですね。僕の理解では一方はLinuxだと主張しているのに、もう一方はAndroidだと主張しているようなものです。
こちらの記事の図のとおり、AndroidはLinuxを含めたSQLiteやSSL、Dalvik仮想マシンを基礎技術として開発された応用技術なのですが、肯定派はAndroidだと主張しているのに、否定派はLinuxだと言ってるような奇妙さです。意味通じますでしょうか?
※ 現在のAndroidがこのようなコンポーネントと構造になっているか分かりません。最新の状況を各自でお調べください。
そして、それ以外の関係は立場がそれぞれ相反関係にあるので、今回の論争は議論にはまったくならず相手を叩きのめす戦争になってしまったのではないでしょうか?
面白かったことがありまして、肯定派vs否定派の様子がまるで、リップル信者vsビットコイン信者そのままだったことです。嫌味な言葉遣い、上からマウントな感じはビットコイン信者にありがちな態度で、肯定派の弱弱しい劣勢な感じはリップル信者に見えました。批判派がカルトと肯定派を罵る様はよく両者の特徴を表していると関心しました。
マイナンバーカードにブロックチェーンは適するか?
この点、論争でまったく進展がありませんでした。否定派は個別の技術要素に着目して論を展開しており主張としては不向きだということでしょうが、肯定派からするといやそうではないという状況で平行線でした。
私はマイナンバーカードにブロックチェーンは向いている考えています。実は、イーサリアムでは0xから始まる16進数形式のアドレスで無数のWebアプリであるDappsやDeFiと呼ばれる分散型のWebサービスにシームレスに利用できるからです。
Base58はビットコインなどには影響しますが、イーサリアムには無関係であり、Base58vsUUID論争は無駄なものと僕は見ていました。
DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)は今年に入って注目されたDappsの一種で、分散型取引所である Uniswap、分差型マネーマーケットである Compound 等多くのWebサイトでは同一のアドレスを用いてパスワード無しに利用することができます。これは Web3 とよばれるイーサリアムのインターフェースがかかわっています。詳しく知りたい場合はweb3.jsを調べてみてください。
それ以外のDeFiに関しては上のサイトから調べることができます。defipulseによれば DeFi 上にロックされた価値は10ビリオンドル(約1 兆円)に上ります。金額から考えると、イーサリアムのDeFiは一定の成功を収めたとも言えるでしょう。同じような仕組みは他のブロックチェーンで恐らく存在すると考えられるので理屈としてはブロックチェーン全般でマイナンバーカードに使用することができると想像しています。
マイナンバーカードについて確認してみましょう。マイナンバーカードは個人を識別するもので、この点でブロックチェーンのアドレスが使用できそうですね。
高木氏や反対派がブロックチェーンに反対する本当の理由は?
マイナンバーカードの関係省庁は総務省と経済産業省で、また利害関係にある特定の個人や組織としてCSAJなどの協会があるようです。
なるほど、政治に踏み込んだというのはそういう事かと理解しました。加納さんは地雷を踏んだようです。もうすでにマイナンバーカードは特定の企業や団体のものなのに、そこに無関係の人間が乗り込んだという認識であれば腹を立てる理由もなるほどと理解できます。
つまり、今回の論争は異なる業界同士の縄張り争いだったと考えてもいいかもしれません。
結論
ブロックチェーン業界のためだという批判がありましたが、一方で否定派も自分たちの業界の為に頑張っていたようです。どうも否定派の方が権力がありそうです。デジタル庁より先に、否定派(経済産業省含や関係協会)にブロックチェーンを売り込んだ方がよさそうでしたね。