仮想通貨技術を利用した決済システムが普及するには?
最近 Twitter の TL が局所的に荒れているようです。恐らく Bitmex のアフィリエイト関連や、自己承認欲求お化け周り、炎マ怪獣あたりが燃えているのではないかと想像しています。色々思うことはあるのですが、まあ、お互いにブロックすればお互い幸せになれると思います。
さて、今日は仮想通貨技術を利用した決済システムが普及するにはということで考えてみたいと思います。今回の話はリテール決済(スーパーとかコンビニでお金払う時)になります。
先日 Raiden Network について調べました。Ethereum では他にも似たようなものとして、Plasma や PoA Network があります。他のプラットフォームではビットコインなら Lightning Network。XRP にも payment channel と呼ばれる技術があるそうです。
ざっと Raiden Network 以外も確認したところ、進んでいても実証実験くらいの進捗で普及するか未知数な状況です。Lightning Network は結構 Twitter 上で活動が見られますが、実店舗で幅広く使われているというより実証実験という感じですし、PoA Network(xDai) もイベントでちょっと使われた程度です。payment channel に関しては良くわかりませんでした。いずれにしても普及するには2,3年以上はかかりそうです。
普及までのハードル
以下の通りです。
- そもそもまだ実装が終わっていないものがある
- 変動リスク
- 無料で使えるが、技術者がいなければ到底扱えない
- 殆どの人は仮想通貨に興味ない
- 仮想通貨愛好者であっても、大半が投資目的で決済が目的ではない
- ライバルが大変多い(クレジットカードや電子マネーに対抗しなければならない)
- イニシャルコスト、ランニングコストをどこまで減らせるか?
- POSも必要
では下の方で細かく説明します。
そもそもまだ実装が終わっていないものがある
殆どが (絶賛開発中) という感じですね。進捗は Twitter やブログ、OSS なので確実なのは Github を見てもらったほうが進捗が良くわかります。
変動リスク
一日で10%上下したりするので、支払う側も受け取る側もそのまま仮想通貨を使うのは無理なのは明らかですね。変動が激しいので、決済のたびにギャンブルが発生することになります。この問題を解決するには、もっと安定した通貨を直接にしろ間接にしろ使う必要がありそうです。
無料で使えるが、技術者がいなければ到底扱えない
ブログ等Webサービスの多くは技術的知識が無くても誰でも簡単に始められるの対して、仮想通貨決済は今のところ気軽に始められません。有料になりますが、クレジット決済可能なショッピングサイトも簡単に誰でも始められます。とあるサービスではサイト制作、運営、マーケット機能、顧客管理、決済、サポートあらゆる機能込みで年1万円程で済みます。
殆どの人は仮想通貨に興味ない
まったく知らない人や、敵意まで持っている人がいます。うまく隠蔽して広める必要がありそうです。
仮想通貨愛好者であっても、大半が投資目的で決済が目的ではない
Lightning Network は意味の無い決済システムに書きましたが、大半のホルダーは決済自体には興味無いでしょう。あってもそれで需要が増えて高く売れる位。つまり、みんな使うわけないんですね。使わずに持ってるインセンティブが大変強い。IYRK は伊達じゃない。
ただし、Ethereum の場合は少し状況が変わります。Ethereum には DAI があります。Ether を担保に発行を行うので Ether を減らさずに決済を行えるからです。減った DAI は後で買い戻せばいいので楽です。また、Ether そのものも発行数量が限定されていません。これからもインフレし続けるので、使うインセンティブが僅かですが発生します。私はインフレしても需要が供給を上回ると考えているのでホールドし続けます。
ライバルが大変多い
クレジットカードや電子マネーに対抗しなければならないのは間違いありません。後発になるのでこれらのシェアを奪うのは並大抵の努力では無理でしょう。
イニシャル・ランニングコストをどこまで減らせるか?
私が一番の障壁だと考えているのはどれだけ決済システムを導入するインセンティブを作れるかです。そのためには、消費者の利便性よりもお店側がどれだけお得に思えるかが重要です。現在、電子マネーやクレジットカードもお店側が手数料を負担する形になっており、手数料およびイニシャル・ランニングコストを減らせればお店側は喜んで仮想通貨技術を利用した決済システムを採用するでしょう。
POS も必要
Proof of Stake じゃなくて Point Of Sales system の事。直接関係ないのですが、仮想通貨技術を利用した決済システムを導入するなら一緒にどうしても POS が必要になるはずです。なので一緒に提供するか連動できるようにしなければなりません。とある決済端末・システムでは POS も一緒に提供されていることが多いです。
どうすればハードルを越えられるか?
いくつかの問題は殆ど時が解決するでしょう。
Lightning Network 周辺に関しては、既にいくつかの問題に気づき、補完する仕組みを作ったり、サポートするビジネスを行う会社が何社かあるようです。
変動リスクに関しては、日本円ペッグのステーブルコインを発行することで対応するようです。リアルタイムで同時決済をするのでカウンターパーティリスクは無いとのことです。Liquid Network はどうも XRP に近いシステムのようですね。XRP の代わりにビットコインを使い、銀行の代わりに仮想通貨交換業者を使うように見えます(うーん笑)。どうやら仮想通貨交換業者がカギになりそうです。
イニシャル・ランニングコストは攻略が難しい障壁になると想像しています。かつて Linux が普及していく中で、OSもミドルウェアも無料で使えるからイニシャルコストは抑えられるが、メンテナンスできるエンジニアがほとんどおらず、結局ランニングコストが高くついたので結局サポートが充実している Windows を使うケースもたくさんありました。
OSS の良いところは無料で使えるところですが、その代わり無保証のため、何かトラブルが発生した場合その対応はすべて利用者側に任せられていました。どのプラットフォームも基本的に無保障です。この問題に対しては Linux ではサブスクリプション契約でテクニカルサポート業務を請け負うビジネスが登場しました。OS+ハード+テクニカルサポートをセットにして大企業に幅広く受け入れられました。比較したことはないのですが、エンタープライズ分野ではトータルで品質も値段も安かったのだと思われます。
※ 後にサポート業務を行っていた会社はハードウェアベンダーに買収されました。Unix より色々良かったんでしょうね。
今後、仮想通貨技術を利用した決済システムでも Linux と同様にサポートビジネスが必要になるでしょう。ただし、必ず既存の決済システムより便利で安い必要があります。
まとめ
現時点の情報からでは、どのシステムが一般に受け入れられるか予想できません。 Ethereum 愛好者としては xDai を使った決済が今のところ結構いけてる気がしています。実用性があり普及させやすいからです。でも、Lightning Network も含めて色々思う事はあっても、私はとりあえずみんな応援しています。ビットコインは欲しくないので、関連ビジネスを行うと思われる日本の上場企業の株を買いました。(終わり)
参考にした URL
- 日本におけるリテール資金決済の特徴と中央銀行の課題|2017年|研究員の時事解説|ナレッジ&インサイト|NRI Financial Solutions
- ブロックストリーム社、仮想通貨ビットコイン用サイドチェーンの稼働開始 | Cointelegraph
- Getting started with the Liquid Network – Hacker Noon
- 米Rippleのウェブサイトが更新、XRPの「オンデマンド流動性」の展開に期待が高まる|仮想通貨ニュースと速報-コイン東京(cointokyo)
- CRYPTO GARAGE(クリプトガレージ)| Architecting Cryptofinance : CRYPTO GARAGE(クリプトガレージ)| Architecting Cryptofinance
- 2020年に向けたリテール決済の動向についてNTTデータ・河合氏が講演 « ペイメントナビ - カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト